車軸藻ってどんな生き物?

車軸藻類(車軸藻綱に属するシャジクモ目の藻類) は淡水から汽水に生息する大型の多細胞藻類です。 おなじ車軸藻綱のコレオケーテ目とともに陸上植物の祖先に最も近縁なグループといわれています。 車軸藻類の藻体は単相 (n) (図 a) であり、ユニークな生殖器官 (図 b, c) を形成して卵生殖を行います。 受精に伴って形成される卵胞子 (接合子) (図 d-g) のみが複相 (2n) になります。
   車軸藻類は主軸に枝を輪生するシダ植物のスギナのような形態をしています。 その中で、輪生枝 (りんせいし) が分枝しないタイプのものには、シャジクモ属 (Chara) 、シラタマモ属 (Lamprothamnium) 、リクノタムヌス属 (Lychnothamnus) 、ホシツリモ属 (Nitellopsis) が知られています。 一方、輪生枝が細かく分枝するタイプのものはフラスコモ属 (Nitella) およびトリペラ属 (Tolypella) と呼ばれています。
日本にはそのうちの4つの属 (シャジクモ、シラタマモ、ホシツリモ、フラスコモ) が生息しています。 (坂山)

車軸藻類 : この冊子では、車軸藻、しゃじくも、車軸藻類、シャジクモ類... いろいろな呼び方をしていますが、どれも 「シャジクモ目の藻類」 のことをあらわしています。 分類学的には 「シャジクモ目」 「シャジクモ類」 といった呼び方が一般的です。 カタカナの 「シャジクモ」 は Chara braunii という種の和名で、これとは区別して使います。

morphology

車軸藻類の形態 (例 : フラスコモ属)
a. 藻体の先端部分 ; b. 生卵器 (せいらんき) ; c. 造精器 (ぞうせいき) ; d. 卵胞子 (らんほうし) (全形) ;
e. 卵胞子表面構造 ; f. 卵胞子壁表面構造 (SEM) ; g. 卵胞子壁断面構造 (SEM)

しゃじくもレッドリスト


★絶滅種・・・5種類   (種類とはここでは種や変種などのこと*)
 

イケダシャジクモ Chara fibrosa var. brevibracteata

 

ハコネシャジクモ Chara globularis var. hakonensis

 

チュウゼンジフラスコモ Nitella flexilis var. bifurcata

 

テガヌマフラスコモ Nitella furcata var. fallosa

 

キザキフラスコモ Nitella minispora

★野生絶滅種   (栽培や培養によってのみ生存している) ・・・1種
 

ホシツリモ Nitellopsis obtusa

★絶滅危惧 I 類種   (絶滅する可能性が高い)・・・ 24種類
 

オウシャジクモ、カタシャジクモ、アメリカシャジクモ、シラタマモ、ヒメフラスコモ、キヌフラスコモ、オトメフラスコモ、
フラスコモダマシ、ハデフラスコモ、シャジクモなど

*属、種、変種など、いろいろな階層の分類学的まとまりを分類群といいます。
ここで「・・種類」と使われている「種類」は、種および種以下分類群を表しています。

 

(2000年版環境省レッドデータブックより)